エステ業界の給与相場を徹底比較|大手サロンと個人サロンの違い

「エステ業界に転職したいけど、給与ってぶっちゃけどれくらいもらえるんだろう」

これは、私が転職相談を受けるたびに必ず聞かれる質問です。

はじめまして、白石玲奈と申します。
都内の大手エステティックサロンで7年間エステティシャンとして働き、店長も経験しました。

その後、美容業界専門の転職エージェントでキャリアアドバイザーとして4年間、300人以上のエステティシャン・美容部員の転職相談に携わってきました。

現場と転職支援、両方の立場から見えてきたことがあります。
エステ業界の給与は、大手サロンか個人サロンかで仕組みそのものが変わるということです。

この違いを知らないまま転職先を選ぶと、想像していた収入と現実の間にギャップが生まれます。

この記事では、エステティシャンの給与相場をまず数字で押さえます。
そのうえで大手サロンと個人サロンの給与モデルの違いを整理し、大手の代表例としてたかの友梨のケースも見ていきます。

給与だけで判断して後悔しないための視点も、最後にまとめました。

エステティシャンの給与相場をまず数字で確認する

まずは、エステ業界全体の給与感を数字で押さえます。

正社員エステティシャンの給与相場

美容業界専門の求人サイト「美プロ」が2026年4月に発表した調査によると、東京都のエステティシャン正社員求人の月給は25万6,912円でした。

年収換算すると、おおよそ300万円台前半というのが実態に近い数字です。

これはあくまで求人票ベースの平均であり、店舗の規模や個人の経験・役職によって大きく変わります。
未経験からのスタートであれば月給20万円台前半、店長クラスになれば月給35万円を超えるケースも珍しくありません。

大まかな目安を表にまとめました。

経験・役職月給の目安
未経験・研修中20万円台前半
経験者・一般スタッフ23万〜28万円
主任・副店長クラス28万〜33万円
店長クラス33万〜40万円以上

※求人情報・口コミサイトの公開データをもとにした目安です。サロンによって幅があります。

雇用形態によっても給与モデルは変わる

正社員だけでなく、業務委託やパート・アルバイトという働き方もあります。
給与の仕組みは、この雇用形態によっても大きく変わります。

  • 正社員は固定月給に歩合や資格手当などのインセンティブが加わる仕組みが基本
  • 業務委託は施術件数やオプション売上に応じた歩合制で、収入の上限は高いものの保証がない分だけ不安定になりやすい
  • パート・アルバイトは時給制が中心で、エステ業界の時給相場は1,300円〜1,500円程度のケースが多い

安定性を取るか、伸びしろを取るか。
これは好みの問題ではなく、生活設計に直結する部分なので慎重に考えたいところです。

大手サロンと個人サロン、給与の仕組みはどう違うのか

エステサロンは大きく分けて、全国展開する大手チェーンと、オーナーが1〜数店舗を運営する個人サロンに分かれます。
この2つ、実は給与の仕組みそのものが違います。

大手サロンの給与モデルの特徴

大手サロンは月給制をベースに、資格手当・技術給・役職手当といった手当が細かく設計されているケースが多いです。
昇給・賞与も年2回など制度化されていることが一般的で、勤続年数に応じた収入の伸びが見込みやすい設計になっています。

研修制度も体系化されていて、未経験からのスタートでも一定の技術水準まで引き上げてもらえる仕組みが整っています。
その分、給与テーブルや評価基準が明確な一方、個人の裁量で大きく稼ぐというより積み上げ型の収入になりやすいのが特徴です。

個人サロンの給与モデルの特徴

個人サロンは、オーナーとの距離が近く、給与体系も柔軟に決まることが多いです。
歩合の比率が高い、指名料がダイレクトに収入に反映されるなど、頑張り次第で青天井に近い収入を狙えるケースもあります。

一方で、給与テーブルや昇給ルールが明文化されていないサロンも少なくありません。
経営状況によって待遇が左右されやすく、研修制度も店舗ごとにばらつきが大きいというのが正直なところです。

2つのモデルの違いを表に整理しました。

比較項目大手サロン個人サロン
給与の仕組み月給制+各種手当が明確歩合・指名料の比率が高め
昇給・賞与制度化されていることが多いオーナー判断によることが多い
研修制度体系化されている傾向店舗ごとにばらつきが大きい
収入の伸び方積み上げ型で安定しやすい実力次第で伸びしろが大きい
収入の安定性比較的安定経営状況に左右されやすい

どちらが良い・悪いという話ではありません。
安定した積み上げを重視するなら大手、実力主義でどんどん稼ぎたいなら個人サロン。
この傾向は、私が見てきた転職者の満足度からもはっきり出ています。

判断に迷ったら、次の質問を自分に投げかけてみてください。

  • 収入が多少不安定でも、実力次第で早く稼ぎたいか
  • 未経験の技術を一から丁寧に教えてもらいたいか
  • 将来的に独立や店長昇進など、明確なキャリアパスを描きたいか

3つとも前者に近いなら個人サロン向き、後者に近いなら大手サロン向きというのが、私の経験から見た大まかな傾向です。

大手サロンで働くリアル|たかの友梨のケースから見る

大手サロンの給与体系を、もう少し具体的にイメージしてもらうために実例を見てみます。
ここでは、全国70店舗を展開する大手エステサロン「たかの友梨ビューティクリニック」(運営:株式会社不二ビューティ)を例に取り上げます。

求人情報から見える給与・待遇の実態

たかの友梨の採用サイトに掲載されている正社員エステティシャンの求人(渋谷本店の例)を見ると、基本月給は26万円以上、これに歩合が加わる仕組みです。
研修中の3ヶ月間は月給23万5,000円以上、試用期間中は22万円に残業代が別途支給されるという設計になっています。

資格手当(最大3万円)や技術給(最大2万円)、役職手当(5,000円〜13万円)といった手当も細かく設定されています。
公開されている給与例では、入社5年で店長になった28歳の月給が40万3,500円、入社2年で主任代理になった21歳の月給が30万3,900円でした。

福利厚生面では、賞与・昇給が年2回、退職金制度、時短勤務、交通費支給(月3万円まで)、東京勤務者向けの社宅などが用意されています。
産休育休の取得率は2024年度で100%とのことで、女性が長く働き続けられる環境づくりには力を入れている印象です。

研修制度とキャリアパス

未経験からの入社が多いことを反映してか、研修制度はかなり手厚く設計されています。
新人研修が2週間、その後3ヶ月研修、6ヶ月研修と段階的にステップアップしていく仕組みで、授業料や教材費は無料、研修中も給与が支払われます。

キャリアパスも、スキルアップコース・スペシャリストコース・キャリアアップコース(店長への道)と複数用意されています。
実際、2024年・2025年と2年連続で「日本美容企業大賞」のHR部門(働きやすさ・人材育成の取り組みを審査する部門)を含む3部門を受賞していて、人材育成への投資は業界内でも評価されているようです。

たかの友梨の社員としての働き方や最新の募集要項は、たかの友梨の社員採用ページで職種・エリアごとに確認できます。

社員の口コミから見える評価

制度面だけでなく、実際に働いている、あるいは働いていた社員の声も見ておきます。
口コミサイトによって数値には幅がありますが、傾向として見えてくるものがあります。

良い評価としてよく挙がるのは、研修制度の充実、未経験からでも技術が身につく環境、女性同士の人間関係の良さです。
一方で、開店前の技術練習や物販ノルマによる長時間労働、休憩が取りにくいといった厳しい声も一定数見られます。

たとえば大手口コミサイトのOpenWorkでは、正社員の平均年収348万円、月間残業22.6時間という数値が公開されています。
別の口コミサイトのキャリコネでは、月平均残業66.7時間と、OpenWorkよりもかなり高い数値が出ています。

出典によって数字の幅が大きいのは、回答者の店舗・年次・時期が異なるためでしょう。
どれか一つの数字を鵜呑みにするのではなく、複数の情報源を照らし合わせて自分なりの相場感を持つことが大切です。

個人サロンで働くリアル|メリットとリスク

個人サロンについても、同じようにメリットとリスクの両面を見ておきます。

メリットとしてまず挙げられるのは、頑張りが収入にダイレクトに反映されやすいことです。
指名客がつけば売上に応じた歩合が上乗せされ、大手よりも早いペースで収入が伸びるケースもあります。

オーナーとの距離が近いため、施術の裁量やサロンの運営方針に自分の意見が反映されやすいという声もよく聞きます。

人気の個人サロンであれば、指名だけで大手の店長クラス以上を稼ぐ人もいます。
看板やブランド力に頼らず、実力そのものが収入に直結するのが個人サロンの醍醐味です。

リスクとして正直にお伝えしたいのは、収入の不安定さです。
指名が取れない月は歩合がほとんどつかず、固定給が低めに設定されているサロンだと生活が苦しくなる可能性があります。

研修制度が整っていないサロンも多く、未経験者は独学に近い形で技術を身につけなければならない場面も出てきます。

個人サロンを選ぶなら、面接の段階で以下は必ず確認しておきたいところです。

  • 固定給と歩合の内訳、歩合が発生する条件
  • 研修やOJTの有無、期間
  • 社会保険の加入状況
  • 実際に働いているスタッフの定着年数

こうした基本条件が曖昧なまま入社してしまうと、聞いていた話と違うというトラブルにつながりやすくなります。

給与相場だけで選ばない、後悔しないサロンの見極め方

ここまで給与の話を中心にしてきました。
ただ、転職相談を受けていて感じるのは、給与額だけで会社を選んだ人ほど後悔しやすいということです。

最後に、給与以外でチェックしておきたい視点を2つ紹介します。

資格・研修制度をチェックする

エステティシャンには国家資格はありませんが、業界団体による民間資格があります。
代表的なものが「AJESTHE認定エステティシャン」で、1994年の制度開始以来10万人以上のエステティシャンを輩出してきました。

詳しくは、一般社団法人日本エステティック協会(AJESTHE)の資格・検定ページをご覧ください。

就職・転職先を選ぶ際は、こうした資格取得を支援してくれる制度があるかどうかも確認しておくと安心です。
資格支援制度がしっかりしているサロンは、技術指導や教育体制そのものにも力を入れている傾向があります。

給与の「額面」だけでなく実態を調べる方法

求人票に書かれている月給の数字だけを見て判断するのは危険です。
固定残業代が含まれているのか、歩合はどの条件で発生するのか、賞与の実績はどうかまで踏み込んで確認しましょう。

業界全体の給与水準と比べて、求人票の数字が高いのか低いのか。
その理由まで踏み込んで考える癖をつけておくと、入社後のミスマッチを減らせます。

可能であれば、面接の場で次のように聞いてみてください。

「入社1年目・3年目・5年目のモデル年収を教えていただけますか。直近の賞与支給実績もあわせて伺えますか」

これくらい具体的に聞いても、きちんとしたサロンであれば嫌な顔はされません。
逆に答えに詰まる、あるいは曖昧にごまかされる会社は、給与制度そのものが整っていない可能性があります。

まとめ

エステティシャンの給与は、大手サロンか個人サロンかで仕組みが大きく変わります。
大手は月給制と手当で安定した積み上げ型、個人は歩合中心で実力次第の伸びしろ型というのが大まかな傾向です。

どちらが正解ということはありません。
安定を重視するのか、実力で早く稼ぎたいのか。
自分の働き方の軸を先に決めておくと、サロン選びで迷いにくくなります。

給与の数字だけでなく、研修制度や資格支援、実際の口コミまで含めて総合的に判断してください。
それが、エステ業界で長く働き続けるための一番の近道です。